粉瘤

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皮下腫瘍で最も多い粉瘤(アテローム)とは

粉瘤粉瘤(アテローム)は、皮膚の下にできる良性腫瘍の中で最も多くみられる疾患です。毛穴や皮膚の表面にある表皮部分が真皮の中に入り込み、袋状の構造を作り、その内部に角質(垢)が蓄積して膨らんでいきます。

粉瘤の特徴と症状

  • 見た目:皮膚の下にしこりとして現れ、多くの場合、中央に「へそ(陥凹)」が見られます。
  • 大きさ:数ミリからクルミ大程度ですが、放置するとさらに大きくなることもあります。
  • 中身:脂肪のかたまりと誤解されることが多いですが、実際は角質(垢)です。
  • 進行:通常は自然に消えることはなく、次第に大きくなっていきます。

粉瘤の治療方法

粉瘤の根本的な治療には、手術による摘出が必要です。手術では、皮膚の一部を紡錘形に切除し、粉瘤の袋(被膜)を完全に除去します。被膜を破ることなく取り除けば再発のリスクはほぼありませんが、被膜の一部が残ると再発する可能性が高くなります。

粉瘤が化膿した場合の対処法

感染を起こすと膿が溜まり、赤く腫れて痛みを伴います。この場合、切開して膿を排出し、洗浄を行います。感染した粉瘤は被膜が溶けてしまうため、完全摘出が難しくなることがあり、できるだけ化膿する前に除去するのが理想的です。

粉瘤と間違えやすい疾患

粉瘤と類似した疾患には、以下のものがあります。

  • 脂肪腫(柔らかく、脂肪細胞が増殖したもの)
  • 石灰化上皮腫(硬く、石灰が沈着したもの)
  • 皮様嚢腫(胎生期の組織が混在する嚢胞)
  • 毛嚢炎(小さな感染性病変で粉瘤と区別がつきにくいことも)

特に頭皮にできる粉瘤は、外毛根鞘性嚢腫の可能性もあります。稀に境界悪性(増殖性外毛根鞘性嚢腫)を呈する場合があるため注意が必要です。

当院の粉瘤治療について

当院では、粉瘤の摘出手術を日常的に行っております。安全で確実な治療のため、摘出した組織は病理検査を実施し、悪性変化がないか確認します。実際に粉瘤の被膜内面から有棘細胞癌が発生したケースも経験しています。

粉瘤でお悩みの方は、お早めに当院にご相談ください。

身原 京美

執筆者

身原 京美

院長 / 身原皮ふ科・形成外科クリニック

当院は広島で皮膚科専門医と形成外科専門医が診療を行う専門クリニックです。

皮膚科の新しい治療を積極的に取り入れる一方で、高齢者医療にも長年携わってまいりました。また、院長は2人の娘を持つ母として、赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんに対応しております。女性としての視点を活かし、シミやシワなど整容面のお悩みにも親身にお応えするクリニックを目指しています。

皮膚のお悩みは、お気軽にご相談ください。

取得資格

日本皮膚科学会認定専門医 抗加齢医学会認定専門医 日本褥瘡学会認定褥瘡医師 医学博士 日本熱傷学会学術奨励賞受賞 国際熱傷学会誌BURNS outstanding reviewer受賞